ベクトル解析


 

高校レベルで習うベクトル演算は内積程度ですが、その他にも多くの定義された演

算があります。 まずは、復習をする意味で内積の定義から始めましょう。ただし、ベ

クトルは太字のイタリック体で表しています。例えば、ベクトルの成分表示は次のよ

うになります。

 

=(AX、AY、AZ

 

1.内積

 

皆さんがご存じのように、内積の定義は以下のようになります。

 

=| A |・| B | COSθ=AXBX+AYBY+AZBZ

 

ここで、 絶対値表示されているベクトルはベクトルの大きさを表し、 XYZの添え字

が付いているAとBは上記で説明したベクトルの成分を表しています。また、θは二

つのベクトルによって挟まれてできる角度です(図1参照)。

 

VECTOR-NAISEKI-HASAMU-KAKU.GIF - 1,994BYTES

 

上図においては、ベクトルを表すためにアルファベットの上に矢印を付けました。

 

ベクトルの微分は以下のように定義されます。

 

A /dt=(dAX/dt、dAY/dt、dAZ/dt)

 

したがって、ベクトルの内積の微分は、

 

d(AB)/dt=( (dAX/dt)BX+(dBX/dt)AX、(dAY/dt)BY+(dBY/dt)AY

、(dAZ/dt)BZ+(dBZ/dt)AZ )

=( (dAX/dt)BX、(dAY/dt)BY、(dAZ/dt)BZ

+( AX(dBX/dt)、AY(dBY/dt)、AZ(dBZ/dt) )

=(dA/dt)・BA・(dB/dt)

 

となります。

 

特に、AB の場合は、

 

d(AA)/dt=d(|A |)/dt=2(dA/dt)・A =2A ・(dA/dt)

 

となることに注意してください。

 

2.外積

 

外積は内積と共に、 ベクトル演算における掛け算に相当するもので、 内積の計算

の結果はスカラーになりますが、外積の計算の結果はベクトルになります。

 

VECTOR-GAISEKI-TEIGI.GIF - 2,242BYTES

 

では、外積の定義を示します(図2参照)。

 

A  X =( AYBZ−ABY 、AZBX−AXBZ 、AXBY−AYBX

 

右辺の式の導出

 

また、上のベクトルの大きさは、

 

|  X |=| A |・| B | SINθ

 

となります。   A  X の両方に対して垂直であることに注意してください。

そして、A  X の向きは から に向かってネジを回したときの進む方向となって

います。よって、 )・ =( )・ は容易に類推できます。

 

A  X の証明

 

ベクトルの外積を使えば、  三角形の面積や六面体の体積をコンパクトな形で表現

できます。以下の三角形の面積Sですが(図3参照)、

 

S=| A X B | / 2

 

となります。

 

VECTOR-SANKAKUKEI-MENSEKI.GIF - 2,766BYTES

 

また、以下の六面体の体積Vは

 

V=( A X B )・C

 

と表現できます(図4参照)。 θA B の間の挟む角であり、θA X B C

の間の挟む角です。 上の二つの関係を、 ベクトルの内積や外積の定義にもどって

証明してみてください。

 

VECTOR-ROKUMENTAI-TAISEKISEKI.GIF - 3,797BYTES

 

物理でも頻繁に使われる、ベクトルの外積の微分を考えてみます。

 

d(A X B )/dt

=( (dAY/dt)BZ+(dBZ/dt)AY−(dAZ/dt)BY−(dBY/dt)AZ

(dAZ/dt)BX+(dBX/dt)AZ−(dAX/dt)BZ−(dBZ/dt)AX

(dAX/dt)BY+(dBY/dt)AX−(dAY/dt)BX−(dBX/dt)AY

=( (dAY/dt)BZ−(dAZ/dt)BY+AY(dBZ/dt)−AZ(dBY/dt)、

(dAZ/dt)BX−(dAX/dt)BZ+AZ(dBX/dt)−AX(dBZ/dt)、

(dAX/dt)BY−(dAY/dt)BX+AX(dBY/dt)−AY(dBX/dt) )

=( (dAY/dt)BZ−(dAZ/dt)BY、(dAZ/dt)BX−(dAX/dt)BZ

(dAX/dt)BY−(dAY/dt)BX )+( AY(dBZ/dt)−AZ(dBY/dt)、

AZ(dBX/dt)−AX(dBZ/dt)、AX(dBY/dt)−AY(dBX/dt) )

=(dA /dt)XBA X(dB /dt)

 

が得られます。

 

外積の微分では AB のとき計算するまでもなく、

 

d(AA )/dt= (何故なら、AA

 

となります。

 

 

 

 

 


 

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