三次元空間で接する球の最大数
前ページの平面上に置かれた球の検討結果から、少なくても六つの球と接すること
は判っています。 上下方向にさらに三つずつ球を置けると仮定して議論を進めま
す。つまり、真ん中の球は周辺にある十二の球と密に接することになります。これを
証明するために、正多面体の所で議論した正二十面体の結果を利用します。
正二十面体の頂点数は12でした。 これらの方向は三次元的に対称であり、 頂点
方向に周辺の球の中心を配置すれば、球を均等に配置できるようになります。球の
直径を1として、真ん中にある球の中心から半径を1とする球面を考えます。周辺の
球の中心はこの球面上にあることになります。 従って、それらの中心座標を球座標
の角度の値を使って表すと以下のようになります。角度の単位である°は省略して
います。
点1→ (COS0 SIN90、SIN0 SIN90、COS90)
点2→ (COS64 SIN90、SIN64 SIN90、COS90)
点3→ (COS32 SIN32、SIN32 SIN32、COS32)
点4→ (COS302 SIN58、SIN302 SIN58、COS58)
点5→ (COS302 SIN122、SIN302 SIN122、COS122)
点6→ (COS32 SIN148、SIN32 SIN148、COS148)
点7→ (COS122 SIN122、SIN122 SIN122、COS122)
点8→ (COS122 SIN58、SIN122 SIN58、COS58)
点9→ (COS212 SIN32、SIN212 SIN32、COS32)
点10→ (COS244 SIN90、SIN244 SIN90、COS90)
点11→ (COS212 SIN148、SIN212 SIN148、COS148)
点12→ (COS180 SIN90、SIN180 SIN90、COS90)
それでは、 球面上にある近接する周辺球の中心間の距離を計算してみます。 この
距離が1より小さければ、最大数は12より小さくなり、 1より大きければ、12以上と
なります。点1と点2の間の距離Lは、
L={ (COS0 SIN90−COS64 SIN90)2+(SIN0 SIN90−
SIN64 SIN90)2 +(COS90−COS90)2 }1/2
の式で与えられます。上式を数値的に計算すると、Lは約1.05になります。接する
球の最大数は12以上ということになります。 但し、Lの値は1に比べてあまり大きく
なく、14以上という結論にはならないと思います。13個目の球が置けるかどうかを
検討してみます。
図1では真ん中にある球に接するように、六個の球が配置されています。 点Oは真
ん中の球の中心で、 点Aから点Fまでが周辺にある球の中心です。 三角形ABC、
三角形ACD、 三角形ADEそして三角形AEFは、 一辺の長さが1の正三角形です
。 点Bを中心とする球と点Fを中心とする球が接していないことに注意してください。
この為、三角形AFBは正三角形ではありません(辺FBの長さは約1.09)。
<球の配置図、緑が中心球で赤と青が周辺球>
(図1、Functionviewで作成)
さらに、周辺に配置する球の数を増やして行きます。図2では、図1の六つの球に加
えて新たに六つの球を追加しています(点Aから点Lはそれぞれの球の中心)。中心
間の距離は次の四つのグループに分類できます。
L1(黒の点線)→ 1
L2(黒の実線)→ 約1.09
L3(赤の点線)→ 約1.24
L4(赤の実線)→ 約1.15
<周辺球の中心配置図、緑が中心球で青が半径1の球面>
(図2、Functionviewで作成)
以上の結果から、 13個目の球を置くスペースがないことが判ります(図1のように
、CFまたはDFの距離が取れないと新たな球は置けない)。
<参考>
CF={ (COS70.5 SIN60.0−COS282.0 SIN60.0)2+(SIN70.5
SIN60.0−SIN282.0 SIN60.0)2 }1/2=1.67(近似)
DF={ (COS141.0 SIN60.0−COS282.0 SIN60.0)2+(SIN141.0
SIN60.0−SIN282.0 SIN60.0)2 }1/2=1.63(近似)
課題(その1)
中心球の半径R1と周辺球の半径R2が異なるとします。 例えば、R1:R2=2:1の
場合、接する周辺球の最大数を求めてください。
課題(その2)
上記の課題で、R1:R2=N:1とします(Nは自然数)。接する周辺球の最大数とN
の間の関係を求めてください。